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CL敗退バイエルンに欠けていたのはレバンドフスキではなくネイマール (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 昨季と今回とでは何が違ったか。CLを語る時、2連覇のプレッシャーは欠かせないものになる。1992-93にチャンピオンズカップからCLに名称を変更して以来、今季で28シーズン目を迎えるが、連覇を達成したのはレアル・マドリードのみ。その他のチームは、ディフェンディングチャンピオンという追われる立場に苦しむことになった。バイエルンも例外ではなかったと思われる。

 それ以上に決定的だったのは、ポーランド代表として出場した2022年カタールW杯予選のアンドラ戦(3月30日)で負傷した、ロベルト・レバンドフスキの欠場だろう。ゴール前に彼がいれば、1点や2点、押し込んでいた可能性はある。よりによって、この大一番を前にチームの大エースが故障するとは、バイエルンは運にも見放されていた。

 だが、PSGと戦った昨季の決勝との一番の違いは、そこではなかったと筆者は見る。チアゴ・アルカンタラの不在だ。リバプールに移籍したその「(ブラジル+スペイン)÷2」的なプレーこそ、バイエルンに最も欠けていた要素に思えて仕方がない。

 昨季の決勝でチアゴは、ヨシュア・キミッヒとともに4-2-3-1の2を担当。洒脱でトリッキーなテクニック、及びシュアなパスワークで、勝利に大きく貢献した。一番光った選手、一番利いていた選手といっても過言ではない。バイエルンの中で、欠くことのできないアクセントの役を果たしていた。

 チアゴのいない今季のバイエルンは緩急や抑揚に欠けていた。アスリート色が強まり、無駄な動きがなくなったとも言えるが、一本調子に陥った感は否めない。メリハリが利いていなかった。悪い意味でのドイツ色が強まった印象だ。

 そうした意味では、ほしかった選手は、レバンドフスキではなくネイマールになる。ポーランドの血ではなく、ブラジルの血だ。ネイマールは来季、バルセロナ入りするのではないかと噂されているが、バイエルンでプレーした方が何倍も活躍できるのではないかと、この試合を見ながら想像した次第だ。

 ドイツらしい組織的で生真面目なプレーの中に、いかにして異なる血を注入するか。多国籍軍的な色彩を保つか。トータルなバランスを維持するか。CLを連覇する難しさを改めて再認識させられた準々決勝だった。

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