柴崎岳は「フリーならジダン」の評を覆せるか。1部昇格へ正念場
今シーズン、スペイン2部のレガネスでプレーする日本代表MF柴崎岳は、「レギュラーをつかんでいる」と表現していいだろう。ボランチを中心に、攻撃的MF、左サイドハーフなど、複数のポジションを担当。34試合終了現在で28試合に出場し、うち19試合が先発出場だ。
1部昇格を狙うチームの貴重な外国人選手として、及第点を与えられるのか――。
今季はここまで28試合に出場している柴崎岳(レガネス) 昨シーズン降格したレガネスは、現在2部で4位。残り8試合だが、自動昇格の1、2位には10ポイント以上も離されてしまった。現状では、3~6位のプレーオフ圏内を確保するのが現実的だ。
シーズン開幕後、新たに就任したホセ・ルイス・マルティ監督の体制は、上昇気流に乗り切れなかった。昨年11月には挽回しつつあったものの、その後は再び勝てない試合が続いた。そして今年1月末、監督はアシエル・ガリターノに交代することになった。
柴崎はマルティ監督の"息子"と言える。スペインデビューシーズン、テネリフェ時代の恩師である。昨シーズンはデポルティーボ・ラ・コルーニャ(以下デポル)で2部B(実質3部)転落の憂き目を見ただけに、自分を知り尽くした監督に招聘され、捲土重来を期していたに違いない。
しかし、監督交代を回避することはできなかった。
ガリターノはレガネスにとって切り札と言える。2013-14シーズンからチームを率い、2部Bから2部、1部と引き上げ、残留にも成功した。いわば英雄的指揮官で、今回も就任後5連勝と見事に巻き返した。2月末、下位に沈むカルタヘナに敗れて進撃は止まったのだが......。
ガリターノ監督は就任当初、柴崎に対して、先発から外すなど、懐疑的な扱いをしていた。しかし、単純なキック&コントロールで、柴崎は2部では群を抜いている。献身的に走るのも事実で、やがてその能力を生かすような戦い方を模索するようになった。
ただ件のカルタヘナ戦で、柴崎はボランチとして先発したが、監督の期待に応えるプレーができなかった。そつはないが、預けるだけのパスが多く、厳しいポジションでボールを受けられず、その結果、せっかく高い能力を持っていてもボールが集まらない。何より、守備での強度の低さが目立った。
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