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麒麟児がくる!フランスサッカーが育てた弱点のない天才は17歳 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 たとえば守備ができなければ、確実にそこは狙われる。「天才」をプレーさせることで得られるプラスより、マイナスのほうが大きければ出場機会は与えられない。弱点を克服できない「天才」はその時点で消えることになる。

 しかし、カマビンガに心配がないのは、弱点らしい弱点がないからだ。

<ポグバとカンテをひとりで兼ねる>

 アンゴラで生まれ、2歳の時にコンゴ民主共和国出身の両親と共にフランスへ移住した。そのためフランス、アンゴラ、コンゴ民主共和国の3つの国籍を持っている。6人兄弟は全員、柔道をしていたが、このままでは家が壊れそうだったのでサッカーを勧められたのだそうだ。

 レンヌのスカウトの目に止まったカマビンガは、16歳でBチームに昇格し、2018-19シーズンの終盤にはトップデビューを果たしている。翌シーズンにはレギュラーに定着、36試合に出場した。この時点で、レアル・マドリードやアーセナルなどが獲得に動いていた。

 2020-21シーズン、第2節モンペリエ戦では77分に印象的なゴールを決め、2-1の勝利に貢献した。左サイドをするするとドリブルで持ち上がり、右へ左へステップを踏んでDFをなすすべなく後退させたあと、スッと利き足側の左へ外してGKの届かないところへシュートを流し込んだ。相手DFはゴール近くに持ち込まれるまで何もできなかった。

 182cm、68kgのMF。左利きでドリブルが滑らか。キックの精度もよく、正確なサイドチェンジやクロスボールを繰り出す。ただ、これらはカマビンガの才能の一部にすぎない。

 16歳にして、5大リーグでトップクラスのタックル成功数を記録している。ボール奪取能力が抜群なのだ。まだほっそりした体型だが、センスで奪っている。この先、パワーやスピードがついてくれば、エンゴロ・カンテ(チェルシー)のようなボール奪取のスペシャリストになるだろう。

 ドリブラーでパスセンスに優れ、さらに天性の守備能力。16歳で活躍できたのは、この万能性ゆえだ。17歳になった今季、背番号は18番から10番に。堂々の中心選手である。

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