2020.05.18

中田英寿を上回る天才に起きた悲劇。
リーガに「ぶっとんだ自信」で挑んだ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

リーガに挑んだ日本人(1)

 日本人がスペイン、リーガ・エスパニョーラに挑戦する――。それはもはや日常と化している。

 乾貴士(エイバル)、久保建英(マジョルカ)はトップリーグで活躍を遂げ、柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)、岡崎慎司(ウエスカ)、香川真司(サラゴサ)は2部リーグで奮闘し、安部裕葵はバルサBから虎視眈々とトップデビューを狙う。名門レアル・マドリードの下部組織では、今年17歳になる中井卓大が研鑽を積んでいる。

 今やスペインで、日本人選手は珍奇な存在ではない。

 だがかつて、これが夢物語に近い時代があった。昔話というほど昔のことではない。21世紀に入って、徐々に先人たちが足を踏みしめ、”開拓”してきた。

 その先駆けになったのは、当時、日本サッカー界で「天才」の名をほしいままにした男だった――。

1993年のU-17世界選手権に出場した財前宣之 1993年、日本で開催されたU-17世界選手権で、その男・財前宣之は頭角を現している。グループリーグ3試合(ガーナ、イタリア、メキシコ)すべてでマン・オブ・ザ・マッチを受賞。さまざまな球種を蹴り分けるセンスは、称賛の的だった。日本のベスト8進出に貢献して大会ベストイレブンにも選ばれる。攻撃的MFとしては、その後イタリア代表として活躍することになるフランチェスコ・トッティを凌ぐ評価だった。