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中田英寿を上回る天才に起きた悲劇。
リーガに「ぶっとんだ自信」で挑んだ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

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「中田(英寿)はよく言っていました。『ザイ(財前)が見本だった」って』

 当時、U-17代表コーチだった小見幸隆氏はそう証言していた。

「ザイのような天才がいたから、中田も刺激を受けた。右に切り返す動きひとつをとってもスルーパスにつながっていて、センスに驚かされました。U-17代表でも圧倒的なうまさで、練習でデモンストレーションをするのは、いつもザイでした。中田はそれを体育座りで見ていましたね」

 中田に限らず、宮本恒靖も松田直樹も、凡庸に見えたという。たとえば、自陣から敵陣に長いボールを蹴り込んでの攻撃で、財前はアウトサイドでスピンをかけてボールを蹴り、タッチラインを割らずにコントロールできた。インサイドでは、当たり前のように蹴ることができた。

 17歳だった財前が狙っていたのは、Jリーグではなく世界デビューだ。そこで高卒と同時にヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)と契約したまま、イタリア、セリエAのラツィオへ留学。ユース在籍だったが、アレッサンドロ・ネスタもいた環境で、ズデネク・ゼーマン監督からトップ練習参加も許されていた。

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