バルサに嫌われたオランダ人。暗黒時代を経てシャビ、イニエスタへ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by ANP Sport/AFLO

 ファン・ハールはバルサに、アヤックスで欧州王者になった時のオランダ人選手たちをごっそり連れてきた。パトリック・クライファート、フィリップ・コクー、フランク・デ・ブール、ロナルト・デ・ブール、ミハエル・ライツィハー、ボウデヴィン・ゼンデン、ウィンストン・ボハルデ......。さらにアヤックスからはフィンランド代表ヤリ・リトマネンまで呼び寄せている。

 バルサを愛する人々は、眉をひそめた。

 強さも、スペクタクルも、このクラブでは正義にならない。カタルーニャ人の誇りを満たす必要がある。それによってカンプノウで熱狂に包まれ、想像を超えたエネルギーが生まれるのだ。

 しかし、ファン・ハールはその感情を無視した。"オランダ人が正しく、バルサは従え"。驕った態度を隠さなかった。悪意はなくとも、人を見下すところがあったのだ。

 カタルーニャ人は、悪夢のようなフランコ独裁政権を経験している。傲岸不遜に振る舞うリーダーを生理的に毛嫌いする性質を持つ。ファン・ハールは格好の標的だった。

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