バルサに嫌われたオランダ人。暗黒時代を経てシャビ、イニエスタへ (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by ANP Sport/AFLO

 一方でファン・ハールは、シャビ・エルナンデス、カルレス・プジョル、ガブリなど、ラ・マシアの若手を次々に登用している。とりわけプジョルはカンプノウで衝撃を与えた。2000年のクラシコで、レアル・マドリードに移籍して"裏切り者"として戻ってきたルイス・フィーゴを完全なマンマークで封じ込めたのだ。

 オランダ人指揮官には、選手の能力を見抜く力があった。戦術論を戦わせたら、誰もかなわない。選手を適材適所で起用することもできた。最後のシーズンは無冠だったものの、チャンピオンズリーグは準決勝進出、リーガは2位。若手を使いながら、相応の成果は挙げていたのだ。

 ただ、ファン・ハールの論理的思考は、カタルーニャ人の感情には受け入れられなかった。

 結局、指揮官が去ると、バルサは多くのオランダ人選手を持て余した。彼らがひとり、ふたりと去り、チームは改編を迫られる。しかし3年間、オランダ化を進めたことで、転換には時間がかかった。

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