ロナウジーニョ逮捕の裏に犯罪組織のニオイ。いったい何が起きたのか

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ロナウジーニョが逮捕された。このショッキングな事件は世界中で報道され、かつて彼の華麗なプレーに魅了されたサッカーファンを嘆かせている。日本でも、2002年W杯での彼の活躍を覚えている人は多いことだろう。

パラグアイ当局に逮捕されたロナウジーニョと兄のアシスパラグアイ当局に逮捕されたロナウジーニョと兄のアシス それにしても、今回の事件には不可解なところがある。まずは何が起こったのか、順を追って整理してみてみよう。

 3月5日の午後遅く、ロナウジーニョと、その代理人を務める兄のアシス(かつてコンサドーレ札幌に選手として所属していたこともある)は、パラグアイの空港に降り立った。パラグアイに来た目的は3つ。新しくオープンするカジノの初日イベントのゲスト、自分の伝記本の宣伝、恵まれない子供たちのためのチャリティである。

 ロナウジーニョ兄弟は普通のイミグレーションには行かず、空港のVIPルームに通され、そこで入国手続きをした。南米には「メルコスール」と呼ばれる関税同盟があり、加盟国間であれば、パスポートではなく、IDカードだけで旅行ができる。だが、2人はなぜかそこでパラグアイのパスポートを提示した。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る