シメオネ率いるアトレティコに異変。主軸移籍、得点力不足にケガ人続出 (2ページ目)

  • 高橋智行●文 text by Takahashi Tomoyuki
  • photo by Getty Images

 その原因は、これまでも問題となっていた決定力不足にあることは間違いなく、シメオネもCL第5節のユベントス戦(11月26日)後に「ゴール面を改善する必要がある」と認めている。リーガ総得点16ゴールは優勝を狙うにはあまりにも物足りなく、得点数はリーガでアラベスと並び11番目。一方、優勝争いのライバルとなるバルセロナは35ゴール、レアル・マドリードは28ゴールを、共に1試合少ない中で記録している。

 今シーズン、エースの役目を求められるジエゴ・コスタは、プレシーズン5得点でチーム得点王になるも、シーズンの始まりと共にまたもやその得点力が鳴りを潜める。昨シーズンはケガや出場停止もあり、リーガでわずか2ゴール、今シーズンもここまで11試合で2ゴールのみ。

 それでもその闘争心を買うシメオネは、度々擁護しスタメンで起用してきたが、先週椎間板ヘルニアの手術を行ない、復帰目標は2月下旬に再開するCLラウンド16と言われている。

 ジエゴ・コスタ不在の中、アルバロ・モラタの調子が上がってきていることがチームにとって大きな光となっている。ここ2試合は無得点に終わっているが、その前まで公式戦6試合連続得点を記録。リーグ戦5ゴールでチーム得点王になっている。

 ジョアン・フェリックスはシーズン序盤、存在感を示しリーグ戦で2ゴールを決めたが、第9節バレンシア戦での負傷により約1カ月、公式戦4試合の欠場を余儀なくされた。その後、第14節グラナダ戦で戦列復帰し、続くCL第5節ユベントス戦では途中出場ながらリズムを掴み始めている。また11月27日に2019年のゴールデンボーイ賞(欧州最優秀若手選手賞)を受賞し、最高の1年となっている。

 守備陣は昨シーズンからメンバーが入れ替わるも、リーグ戦14試合でわずか9失点と、ビルバオと並びリーガトップの堅守を誇り、例年どおりのレベルを維持できている。

 その要因として守護神ヤン・オブラクの存在が大きいだろう。ほぼ毎試合、ビッグセーブを披露し勝ち点獲得に大きく貢献している。ここまでのリーグ戦1試合の平均失点数は0.64ゴールで、1試合平均失点1.00ゴール(14試合14失点)の2位バツリーク(セビージャ)に差をつけ、5年連続のサモラ賞(最優秀GK賞)受賞に向けて前進している。

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