板倉滉、昨季出場ゼロ→先発奪取。冨安健洋とダブる成長のステップ (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 9月25日のPSV戦で、フローニンゲンは3失点を許した。オランダ代表FWステーフェン・ベルフワインやFWドニエル・マレン、右SBデンゼル・ダンフリースのスピードとパワーに押され、「立ち上がりからスピード感やうまさの違いなど、『個々の能力がぜんぜん違うな』と感じました」と言う。

 前半2失点を許したフローニンゲンは、後半に1点差まで追いつくも、アディショナルタイムにとどめを刺されて1-3で負けた。格上との戦いを終えた板倉はサバサバした表情で、「負けたこと自体、言い訳はできないし、悔しい思いはあるけれど、開始早々からやっぱり楽しかった」と振り返っていた。

 PSV戦の3日後、フローニンゲンはアヤックスと戦った。試合中に4バックから5バックへシステムを変更した際もスムーズにいき、フローニンゲンは終盤まで0-0のまま敵地で持ちこたえていた。

 しかし73分、MFジャンゴ・ワルメルダムが遅延行為によって2枚目の警告を受けて退場。そのショックは大きく、フローニンゲンは76分と79分に続けてゴールを割られてしまい、最終的に0-2でアヤックスに敗れた。

 前半の板倉は、FWドゥシャン・タディッチ、MFハキム・ツィエク、FWダビド・ネレス、MFドニー・ファン・デ・ベーク、FWクインシー・プロメスといったアヤックスのアタッカー陣に裏を突かれたり、マークを外してしまうシーンもあった。しかし、ハーフタイムにそれを修正すると、「(アヤックス攻撃陣に対する)怖さは少しありつつ、『でも、やられないだろうな』という気持ちも多少ありました」と、失点するまでは落ち着いて守っていた。

 PSVに3失点、アヤックスに2失点を喫したものの、この4日間の濃厚な経験は間違いなく板倉にとって大きかったはずだ。その後、フローニンゲンはRKCワールワイクに3-0、スパルタに2-0と、2試合連続で完封勝ちを収めている。

 スパルタ戦の後半、板倉は196cmのFWラルス・フェルトワイクとの空中戦で、味方MFと連係をとりながらしっかり封じた。

「プレシーズンに、あのFWにやられていたんです。だから、『絶対にやられたくない』という思いが強かった。『元フローニンゲンの選手』ということも聞いていましたし、なおさら(笑)」

 プレシーズンにやられたFWをしっかり止めた――。これもまた、板倉の今季の成長の証(あかし)と呼べるのではないだろうか。

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