CLでバルサが放つビッグクラブのオーラ。そしてメッシは燃えている (4ページ目)
小澤 現在のバルサは、今シーズンのなかでも最もいい状態です。ラ・リーガでも2位アトレティコとの勝ち点差が大きく広がっていて、国内リーグのタイトルはほぼ手中に収めたと言っていいでしょう。CL準々決勝第1戦の前に予定されているアトレティコ戦を仮に落としたとしてもまったく問題ないと思いますし、ここからは選手起用も含めて多くのエネルギーをCLに注ぐことができます。
それと、第28節のベティス戦ではアルトゥーロ・ビダルが左MFに配置されて新しい戦い方を見せてくれました。守備で4−4−2に可変するバルサですが、前線のルイス・スアレスとメッシのファーストプレスが機能することは少ないですし、彼らのプレッシング強度も弱いので、それを見越してベティスに対しては左サイドから中央までをプレーエリアの広いビダルにカバーしてもらう新戦術を披露しました。これがかなり機能していたので、今後のオプションになると思います。それも含めて、現在のバルサには死角が見当たりません。
倉敷 メッシはこの大会にかけるロナウドの鬼気迫る活躍を見て、闘争本能にバッと火がついたようです。天才をメラメラと燃えさせるものは同じレベルのライバルだけなんですね。今シーズンのファイナルが「メッシ対ロナウド」になったら熱いですね。
中山 今回は、UEFAがそれを想定したかのような組み合せになっていますしね(笑)。
小澤 最近は、メッシが頻繁にミックスゾーンでコメントしたり、試合後のフラッシュインタビューに登場するんです。これほどメディア対応に積極的なメッシは、ここ10年くらいで初めてだと思います。倉敷さんがおっしゃったように、メッシの今シーズンにかける思いは相当なものです。
倉敷 燃えるメッシのいるバルサにスールシャール監督はどんな対策を講じるでしょうか。中山さんはどのように予想していますか?
中山 大前提として、バルサはパリのようなヘマはしないでしょうから、ユナイテッドは相当に厳しい戦いを強いられるでしょう。確かにプレミアリーグでのスールシャールは選手が持っている能力をしっかり発揮させることができていると思いますが、リーグ戦とCLでは別次元の難しさがあります。
たとえばオールド・トラッフォードで戦ったパリとの第1戦では、残念ながらスールシャール監督の采配に物足りなさを感じました。戦い方のディティールや試合中のベンチワークなど、CLで上位に進出するために必要な監督力の部分では、まだまだ経験が必要です。そういう意味では、メッシ封じも含めて、彼がどのような戦略でバルサに挑むのかが、この試合最大の見どころです。普通に4-3-3で挑んで、普通に負けたら、来シーズ以降のスールシャール体制も盤石とは言えないと思います。負けるにしても、その負け方が大事になりますね。
小澤 対バルサ、対メッシの対策というものは存在しないですし、奇策を打ったとしてもエルネスト・バルベルデ監督は簡単に違うプランを用意してきますし、それをピッチレベルで即座に遂行できるだけの戦術理解度も今のバルサにはあります。スールシャール監督もそれは十分理解しているでしょうし、ユナイテッドも個々人の選手の質では大きく劣っていません。ホームの第1戦もバルサにボールは保持されるでしょうが、コンパクトな3ラインでまずは守備から試合に入りカウンターとサイドからのクロス攻撃を徹底していけばそう大味な試合になることはないでしょう。CLの準々決勝ですからユナイテッドにも少なからずチャンスはあると見ています。
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