プレミア7年目の吉田麻也は、主審との駆け引きもスキルアップ
リバプールが電光石火のカウンターを見せたのは、80分のことだった。
この時、スコアは1−1の同点。ホームのサウサンプトンは、優勝争いを演じているリバプールを相手に予想以上の善戦を見せていた。
5試合連続で先発出場を果たし、DFラインを統率する吉田麻也 残り時間10分のところでCKのチャンスを掴むと、サウサンプトンが吉田麻也を含めた長身DFをゴール前に送り込んだ。後方で守るのは、ウイングバックのライアン・バートランドひとり。前傾姿勢を強めるサウサンプトンから、このセットプレーをモノにしようという強い気持ちが見て取れた。
しかし、ボールは無情にもカットされ、リバプールが高速カウンターを発動する。サウサンプトンの選手たちは全力疾走で追いかけたが、FWモハメド・サラーはドリブルをグングン加速していった。
そして、ペナルティエリアに入る直前に少しスピードを落とし、最後は左足を一閃――。昨季得点王のエジプト代表FWは、いとも簡単にボールをネットに沈めた。失点後、吉田は両手をひざにつき、思わず肩を落とした。
この失点が、勝負の分かれ目となった。2−1で逆転したリバプールは、さらに1点を追加。3−1でサウサンプトンを下したのである。
吉田としては、W杯ロシア大会のベルギー戦で奪われた決勝点と似たような形でゴールを許してしまった。試合後、反省の言葉を口にした。
「リバプールにCKからカウンターがあるのは、もちろんわかっていた。だから、そこへの対応をうまくしなくてはいけなかったが......。W杯のベルギー戦も一緒だが、あの一発でやられてしまうというのは......。あれは防がなければならない失点だと思います。
いい入り方をして、しっかりプランを持って挑めた。カウンターからいい形もいくつかありました。難しい時間帯もありましたけど、全体的に見て80分まではうまく戦えた。だけどやっぱり、あの2点目を取られて苦しくなった」
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