革命進行中のバルサの社会貢献。難病の少年をVRでカンプ・ノウへ招待
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】バルセロナと「未来のフットボール」(4)
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FCバルセロナの目標は、ただ勝つことだけではない。医学や栄養学、データ分析、バーチャルリアリティ(VR)など、さまざまな分野の研究を通じて、フットボールの進化をめざしている。シリーズ最終回は、2023年の完成に向けて進む本拠地カンプ・ノウの大リノベーション構想と、「クラブを越えた存在(MES QUE UN CLUB)」を自負するバルサの社会貢献策にスポットを当てる。
【スタジアム】
クラブ関係者は口に出さないが、バルサはカタルーニャのナショナリズムを背負ったクラブから、グローバルな「エンターテインメント・ビジネス」に進化しているようだ。その変化をもっとも明確に表わしているのが、新スタジアムの計画。ワールドクラスの巨大なスタジアムを造り、買い物袋を抱えた観光客で埋め尽くそうとしている。
改修が計画されているバルセロナの本拠地、カンプ・ノウ photo by Getty Images バルサは2023年までに「すばらしい都市の中心に位置する世界最高のスポーツコンプレックス」を造る計画だ。その名は「エスパイ・バルサ(バルサ・スペース)」。中心には、改修されたヨーロッパ最大のフットボールスタジアムであるカンプ・ノウが位置し、収容人員は現在の9万9000人から10万5000人に増える。
新しいカンプ・ノウの周りには、オープンな「キャンパス」が広がる。新しいアリーナがあり、クラブのオフィスがあり、レストランが並び、オフィシャルグッズなどを販売するメガストアがあり、ミュージアムが造られる。
バルサはこの「エスパイ・バルサ」(建設予算は6億3000万ユーロ<約790億円>)を、グローバルスポーツを牽引する最新鋭の施設にしたいと考えている。スタジアムはすでに5Gのモバイル通信を備えているし、エスパイ・バルサにはVRの施設もできるだろう。
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