CLでバルサが放つビッグクラブのオーラ。そしてメッシは燃えている
サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。この企画では、経験豊富な達人3人が語り合います。前回に続き、テーマは欧州CLの注目カード。今回は、近年、ともにCL優勝から遠ざかっているバルセロナとマンチェスター・ユナイテッドの一戦について。過去の対戦を振り返りながら、伝統ある強豪クラブ同士の激突を考察する。
――引き続き、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝についてお三方に展望していただきます。今回は、カードのなかから、マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナについて、両チームのラウンド16での戦いぶりを振り返りつつ、準々決勝をプレビューしていただけたらと思います。
今季、状態がさらに上向きになってきているメッシ倉敷 4月10日にユナイテッドのホーム、オールド・トラッフォードで第1戦が行なわれるこの名門対決は過去に11戦の歴史があって、バルサが4勝4分け3敗とわずかにリードしています。
この対戦が決まったときには、2008-09、2010-11のCL決勝を思い出したファンも多いのではないでしょうか。ローマで行なわれた2008-09のファイナルは2−0。エトーとリオネル・メッシのゴールでバルサが優勝。2010-11シーズンはロンドンのウェンブリーでファイナルが行なわれ、3-1でこちらもバルサがビッグイヤーを手にしました。
中山 2010-11はペップ・グアルディオラ対サー・アレックス・ファーガソンという新旧監督対決に注目が集まったなか、ペップがメッシを「偽9番」として起用した試合ですね。ユナイテッドも一度はウェイン・ルーニーのゴールで追いつきましたが、その策が奏功して最終的にはバルサが力の差を見せつけたという試合でした。
ただ、当時と違って現在のユナイテッドにはあのときのようなビッグクラブのオーラが失われてしまっているので、かなり厳しい戦いを強いられそうです。
倉敷 では、両チームのラウンド16の戦いぶりを振り返ってみましょう。まずはユナイテッドから。第2戦ではパリ・サンジェルマンが圧倒的に有利だったはずですが、中山さん、何が起こったのでしょうか。
中山 サー・アレックス・ファーガソンの教え子であるオーレ・グンナー・スールシャール監督の神通力とか、ユナイテッド伝統のミラクルなどと報じるメディアもありましたが、個人的にはパリがユナイテッドにベスト8のチケットをプレゼントした、という表現が相応しいと感じます。通常ではあり得ないようなことが立て続けに起こり、論理的に説明できない試合でした。
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