メッシ、31歳にして進化中。伝説の始まりをあらためて振り返る
驚嘆すべきことに、バルセロナのリオネル・メッシは今なお進化を続けている。フリーキックひとつにも、その真髄が見える。
4月2日、第30節のビジャレアル戦だった。敵地に乗り込んだメッシは、後半途中から交代出場すると、世界最高選手としての真価を見せている。2点差から同点に追いつく口火を切る左足FK。そのボール軌道は、名画の筆致のような美しさだった。
3月30日、第29節のエスパニョール戦でも、メッシは左足でFKを決めている。記録上はオウンゴールとなったが、相手ディフェンスがクリアするしかない状況で必死に首を振ったのに触れたボールがゴールネットを揺らした。彼のゴールも同然だろう。
さらにその前節、メッシはベティス戦で華麗なるハットトリックを記録している。ベティスの熱いファンをも敬服させ、スタンディングオベーションを受けたが、先制点となったFKは神がかっていた。左足で蹴ったボールは、壁の上すれすれのところを、低く早い弾道で飛び、ゴール左上に突き刺さった。GKとしてはお手上げのスピード、コース、高さだった。
今シーズンはFKだけで5得点。2008-09シーズンからFKを蹴り始めたが、実は当初の成功率は低かった。それが過去4年で20得点以上を決め、今や世界最高のキッカーとなっている。その技術は信じられないほどに上達している。
アトレティコ・マドリード戦で今季リーグ戦33点目を決めたリオネル・メッシ あらためて、メッシ伝説の始まりとは――。
2004年10月16日、モンジュイックの丘に建てられたオリンピックスタジアムだった。背番号30をつけた小柄なメッシが、バルサの若手としてリーグデビューを飾っている。
筆者は偶然にも、その瞬間に居合わせることができた。
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