メッシ、31歳にして進化中。
伝説の始まりをあらためて振り返る (2ページ目)
17歳と数カ月のアルゼンチン人ルーキーは、神も悪魔も恐れていないように映った。それは、たまにある"若さ故の怖いもの知らず"とは少し違っていた。ピッチでボールを蹴ることにひたすら集中し、他の何も目に入らない。勝つ方策を探るようでもあり、知り抜いているようでもあり、ひとつひとつのプレーに確信があった。できないことも、できるようにしてしまう"ふてぶてしさ"さえ見えた。
「レオは苦手なことなどない。もしあったとしても、プレーするたびに改善させられるのさ」
当時バルサでチームメイトだったブラジル代表ダニエウ・アウベスは、呆れたような顔で言っていた。
「ヘディングだって、フリーキックだって、どんどんうまくなっていったよ。一度、目にした技は会得できるというか......。ドリブルのリズムにしても、すぐにコピーし、そして自分のものにアレンジできるんだ」
若手だったメッシは当時、全盛を誇ったブラジル代表ロナウジーニョから多くを取り込んだという。FKもそのひとつ。蹴るたびにアジャストさせていった。ただマネするだけでない。自分の感覚に落とし込めるのだ。
追求するのは、フットボーラーとしての完全無欠だろうか。メッシはスペイン代表MFシャビ・エルナンデスのボールーキープ、ターン、パススピードも手に入れている。その感覚は似ており、おかげでプレーメイキングもできる。
<小柄な選手は小柄なりに、自分のよさを生かす>
メッシは、そんな狭い了見には囚われなかった。身長差が20cm以上もあるようなGKに対しても、果敢に空中戦を挑む。ポジション的優位があれば、勝てないわけではない。
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