格差の残るアジア杯を見て考える。アジアと世界の距離は縮まったか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 唯一の例外と言うべきは、第4ポットながらB組で首位通過を果たしたヨルダンだが、W杯ロシア大会では最終予選に進めなかったとはいえ、その前のブラジル大会では最終予選に進出(そのとき日本も対戦し、アウェーでは負けている)。アジアカップも3大会連続4回目の出場であり、第1、2ポットに近い実績を持つ国だった。それを考えれば、波乱と表現するのは少々大袈裟だろう。

 つまりは、第1、2ポットと第3、4ポットの国の間には、番狂わせが起きえないほどの力の差があったということになる。実質的には、「各組3位のうち成績上位の4カ国」という"敗者復活"的な決勝トーナメント進出の枠を、第3、4ポットの国で争う状態になったわけだ。

 結果だけではない。内容的に見ても、新鮮な驚きを与えてくれる伏兵の存在は見当たらなかった。

 あえて"プチ・サプライズ"を挙げるなら、初戦でタイを4-1という驚異的なスコアで下したインドだが、結局は、その後の2連敗でA組最下位に終わっている。

インドは面白いサッカーを見せていたが...インドは面白いサッカーを見せていたが... コンパクトな陣形でまず守備を固め、ボールを奪った瞬間に、素早く動き出す2トップ目がけて、全員が一撃必殺のパスを狙う。そんな徹底して組織化されたカウンターサッカーは、好感が持てたし、見ていて面白かった。タイに勝利したあとのUAE戦でも、敗れはしたが、"あわや"というシーンを何度も作り出した。

 しかしながら、ワンパターンの武器だけでは、試合を重ねるごとに対策が進むのは当然のことだった。1回のサプライズを起こすだけならともかく、大会を勝ち上がるには力不足だったと言わざるをえない。

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