格差の残るアジア杯を見て考える。アジアと世界の距離は縮まったか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 その他、実際に現地で試合を見たなかでも、新鮮な驚きどころか、むしろ失望感を覚えるチームのほうが多かった。

 近年育成年代で成果を挙げているベトナムには、少なからず期待を持って見ていたのだが、イランを相手に手も足も出ず。中国にしても、第2ポットに入ったことで組み合わせに恵まれ、順当に勝ち上がったものの、内容的には見るべきものがなく、技術的にも戦術的にも、相も変わらず雑なプレーを繰り返していた。加えて言えば、ベテラン中心のメンバー構成は、明るい未来さえ予感させてはくれなかった。

 15年ほど前まで、ディフェンスの最後尾にスイーパーを置き、守備を固めては、クリアまがいのロングボールを蹴るだけのチームがあったことを考えれば、アジアのサッカーはずいぶんと進歩した。だが、底辺は確実に上がってきているとしても、トップレベルのいくつかの国を脅かす国がどれだけ出てきているかと言えば、はなはだ疑問だ。

 比較対象を求めるべく3年前を振り返ると、ユーロ2016では今回のアジアカップと同様に、出場国数が前回大会の16から24に増やされた。その結果、ハンガリー、アイスランドがグループリーグでポルトガルを出し抜き、1、2位で突破するなど、それまで大舞台を経験したことがなかった、あるいは、最近遠ざかっていた国が、ちょっとした旋風を巻き起こした。初出場のアイスランドはその後、ベスト8に進出。同じく初出場のウェールズが、ベスト4進出を果たしている。

 しかしながら、今回のアジアカップでは、そんなことは起きていないし、この先も起こりそうにない。残念だが、アジアとヨーロッパでは、層の厚さがまるで違う。

 もちろん、アジアカップをある種の祭典と捉え、実力が劣る国にも広く門戸を開くことで、大会を盛り上げるという発想はあっていい。実際、今大会を見ても、インドやパレスチナ、フィリピンなどは、集客に大きく貢献していた。

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