語り継がれるスーペルクラシコ。W杯で日本を苦しめたレフティが輝く (3ページ目)
延長後半4分、相手GKが弾いたボールをリーベルが拾い、再びショートパスを小気味よくつなぎ、ボックスの際(きわ)でキンテーロがボールを受ける。ファーストタッチでシュートコースをつくり、瞬時に左足を振り抜くと、鋭いシュートがバーの内側を叩いてネットを揺らした。
優勝を決めて喜ぶリーベルの選手たち photo by Nakashima Daisuke「シュートを打った瞬間、僕は何も考えていなかった」とキンテーロはこの時のことを試合後に語った。「トラップの練習は普段から徹底しているので、ファーストタッチからフィニッシュまでは自然に体が動いたんだ。このゴールは23年前にコロンビア軍の任務中に行方不明になった父に捧げたい。僕の家族は何年も父を探している」
ボカは直後にカルロス・テベスを投入したものの、34歳のアタッカーは見るからに体が重く、ほとんど何もできなかった。そして、延長後半のロスタイムにはボカのCKの際にGKエステバン・アンドラーダも相手ボックスに上がったが、ボールはクリアされ、それをキンテーロが巧みなトラップで持ち出し、駆け出したマルティネスへスルーパス。その前方にはゴール以外に何もなく、マルティネスはそのまま独走して駄目押しの3点目を決めた。第2戦は3-1、2試合合計5-3でコパ・リベルタドーレス決勝に決着がつき、今季の南米王者はリーベルに決まった。
ボカの立場からすれば、リーベルのファンに襲われ、延期された決戦で敗れたのだから、納得できないかもしれない。しかしフットボールに勝敗は必要であり、いずれにせよ、これで決着を見たのである。ただし、このファイナルが未来永劫にフットボールファンに語り続けられることは間違いないだろう。
3 / 3