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語り継がれるスーペルクラシコ。W杯で日本を苦しめたレフティが輝く (2ページ目)

  • セルヒオ・レビンスキー●取材・文 text by Sergio Levinsky 井川洋一●翻訳・構成 translation by Igawa Yoichi
  • photo by Nakashima Daisuke

 後半に入ると、リーベルのコーチ陣が動く。ベンチ入り禁止処分を受けていたマルセロ・ガジャルド監督の代役マティアス・ビスカイは、チームの象徴的な選手のひとり、レオナルド・ポンシオをあきらめる決断を下す。ガジャルド監督が全幅の信頼を置く36歳のMFは、前半に警告を受けていたため、極めてテンションの高いこの試合でプレーを続行させるのはたしかに危険と言えた。

 結果的に、この交代策が大いなる実りをもたらすことになる。フアン・キンテーロを投入し、それまでの4-4-1-1から4-3-2-1にシステムを変更。切り札の投入と中盤の構成を変えたことで、リーベルに勢いが生まれ始める。

 左利きのコロンビア代表アタッカーはブラジル、ロシアのW杯両大会で活躍し、日本戦でもゴールを決めているように大舞台に強い。しかしながら、欧州のクラブでは真価を発揮できず、今年1月にあまり騒がれることなく、リーベルにやってきていた。

途中交代でピッチに入ったキンテーロが勝負を決めた途中交代でピッチに入ったキンテーロが勝負を決めた 25歳のレフティはピッチに立てば、たいていの機会でいい仕事をし、ガジャルド監督も彼を好んでいる。だが、エンゾ・ペレスやゴンサロ・マルティネスらのポジションを奪うところまではいかず、主にジョーカーとして起用されてきた。あるいは、そのスピードと技術は途中投入の方が威力を発揮すると考えられていたのかもしれない。ちょうど、この決勝のように。

 キンテーロが攻撃を円滑にし、主導権は完全にリーベルのものとなる。そして68分、右サイドを3人のコンビネーションで崩し、そこからの折り返しをルーカス・プラットが決めて同点に。

 90分までに両者の決着はつかず、歴史的なファイナルは延長に突入(アウェーゴールルールはない)。すると延長前半2分に、ボカのウィルマー・バリオスが二度目の警告を受けて退場となり、流れはさらにリーベルへ傾いていく。心身ともにとてつもないプレッシャーがのしかかる一戦だ。選手の消耗は激しく、ひとり少ないボカは明らかに後退していき、その隙をキンテーロがうまく突いた。

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