W杯で話題になったVARはサッカーのトレンドをどう変えるのか? (5ページ目)

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倉敷 なるほど。中山さん、今回、VARの使い方がドメスティックなリーグで使っているものと、今回のロシアワールドカップ大会は違いましたね。

中山 そうですね。そこがこれからこのルールが突き詰められていくところになると思います。たとえば、スペイン対ポルトガル戦で、ジエゴ・コスタ(スペイン)が同点ゴールを決めたシーンの前で、ペペ(ポルトガル)がジエゴ・コスタの腕にはじかれて、ファウルではないかという時に、あれがVAR判定第1号だったと思うんですけれども、主審が無線でVARとやり取りはしているんですよね。

 ただ、モニターを見ないでそのままゴールを認めたところで、VARが適用される時は主審がモニターを見て最終判断を下すというところが覆ってしまった。その2人のやり取りは僕らにはまったくわからないですし、選手にも監督にも見ている人にもわからない。

 ということは、どちらが判断しているのかがわからなくなってしまう。ここの問題をまずクリアしないと、最終的にピッチ上に誰も出てこないVAR、モスクワにいる別ルームの人が最終決定権を持っているとしたら、そこには抗議もできない。だから、そこはすごく運用の問題として残りましたね。

倉敷 そうですね。今回は得点、あるいは退場など、かなり限定したケースでのみVARを使うということになっていたんですが、データマンの小林君、これはイタリアだと、要するに、そもそもここのファウルがなければゴールにはつながらなかったというダイレクトプレーを、3つも4つもさかのぼってVARを使ってノーゴールにするケースがありますよね。

小林 はい。今回そういう画作りだったのかわからないですけど、そういうのがちょっとうかがい知れないなという部分もあり、トータルで450回以上のチェックを行ったみたいですけど、ゴールシーン以外でも、汚いプレーとかを...

倉敷 結局20回しか選ばなかったという。

小林 はい。クロアチアメディアを見ていて話題になっていたのが、マスチェラーノ(アルゼンチン)がマンジュキッチ(クロアチア)のお腹にパンチしたり、足で踏んづけたりというのがテレビで放映されて、メディアではすごく話題になっていて、あれは一発レッドだと思うんですけど、そういうのは見て見ぬふりをすることもあったというのは、もうちょっと明確な基準があっていいのかなと思います。

倉敷 確かに。最終的にどこのシーンまで使うか。小澤さん、VARですけれども、結局どこまでさかのぼるかということも含めて、使い方ということに関しては、これから突き詰めていかなければいけない部分がいくつかありますよね。

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