W杯で話題になったVARはサッカーのトレンドをどう変えるのか? (3ページ目)
倉敷 確かに。小澤さん、VARにしても結局その場ですぐにゴールかどうか喜べなくなってしまった。ワールドカップはこれからますますテクノロジーの進歩であったり、ルールの変更であったり、今までとは変わったものになっていく傾向が強いのではありませんか?
小澤 間違いなくそうなるでしょうね。VAR自体がまだヨーロッパのトップリーグでもすべて導入されてないなかで、今回のワールドカップに初めて導入されましたので、やはり強豪国中心に、まだまだ選手であったり監督、それから一番大きいのはスタジアムに詰め掛けているファン、サポーターの方が慣れてないなという部分が、とくに大会序盤は見えました。
それが自分たちの国、われわれであればJリーグであったり、普段見ているヨーロッパのリーグで導入されて、そういう運用が当たり前になってくれば、これもまたそれほどトラブルだったりタイムロスには見えない運用になっていくのではないかと思います。
倉敷 では、しばらくはVARの話を中心に進めようと思います。『レキップ』というフランスの新聞の評価を紹介します。
「VARにフランスは助けられたことが多々ある。オーストラリア戦とクロアチア戦ではVARがなければPKはもらえなかった。VARはFIFAが語ったような革命でもなく、危惧していたような混乱も起こらなかった。まだ完全に使いこなしているわけではなく、新たな不公平感は生み出している。スタジアムの観客を置き去りにする行為であり、明快さを示すというよりは、人間の解釈の問題だと認識された。たびたび中断されることが新たなドラマを生み出すことになったが、ゴールが入ったかどうかの喜びや絶望は過去のものになった。今後は選手もVARに応じたプレーをしていかなければならないだろう」
というふうに、『レキップ』はVARに関しては評価しているわけです。中山さんは、VARに関してどんな印象ですか?
中山 8割方好意的というか、VARそのものについては、これは一回この世界に足を踏み出したら、ここを追求していくしかないと思うんです。
倉敷 これはもう戻れないですよね。
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