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やや苦戦→交代で采配的中。
ジダンの「自作自演」でレアルCL3連覇 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 オーバーヘッドシュートといえば、今季のCL準々決勝対ユーベ戦でクリスティアーノ・ロナウドが叩き込んだ一撃を思い出すが、ここで見せたベイルの一発は、それ以上に完成度が高い、まさに芸術品だった。一瞬、ふわりと身体を浮かせると、滑らかな身のこなしから、左足を巻くようにシャープに振り抜いた。

 CL決勝で披露されたスーパーゴールとして知られるのは、2001~02シーズン決勝、レアル・マドリード対レバークーゼン戦のジダンのボレーだが、このベイルのバイシクルシュートは、まさに監督を超える一撃だった。

 このベイルのシュートこそ、この決勝戦最大の見どころになる。ベイルは後半38分にも、リバプールGKカリウスのファンブルを誘うミドルシュートを決め、この試合のマンオブザマッチ(MOM)に選ばれた。交代選手がここまで図ったように活躍する試合も珍しい。監督の采配的中とは、まさにこのことだ。

 とはいえ、繰り返すが、スタメンと布陣を決め、前半の悪い流れを作っているのも監督だ。ベイル、そしてこの日、交代出場を果たしたマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスといったスペイン代表クラスのサイドアタッカーを揃えているにもかかわらず。

 先発の判断を誤り、交代選手を的中させる。これではまさに自作自演だ。ジダンはこれを繰り返しながら、これまで大きなヤマを乗り切ってきた。メンバーが豊富だからこそできる芸当だ。多少の回り道になっても、チームはこの方が回るのかもしれない。

 とはいえ、MOMに輝いたベイルは来季、レアル・マドリードにはいないだろうといわれている。アセンシオ、ルーカス・バスケスは控えに回されても問題ないかもしれないが、彼らより選手としてのランクが高いベイルクラスになると、常時出場は譲れない一線になる。

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