スペイン3季目の鈴木大輔。3億円オファーを断り2部で泥臭く戦う男 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Nakashima Daisuke/AFLO

 中東のクラブからのオファーは、手取りで3億円。ナスティックでの給料の20倍以上だった。

「お金が大事じゃないなんて、俺は言わないです。お金は大事ですよ。でも、今それを選ぶタイミングじゃない。俺は、どれだけ成長できるか、新しい自分に出会えるか、というのを楽しみにスペインにきました。それを追求していく中で、しかるべき流れができると信じています。例えばワールドカップには出場して世界のトップクラスと戦いたいけど、それそのものが目標となったら、自分を見失ってしまう。スペインで何をしにきたのか、それを忘れなかったら、自然とその流れはできると信じています」

 鈴木は確信を込めて言った。スペイン語の会話力も上がり、日常生活にはずっと前から支障はない。異国でのプレーによって、逞(たくま)しさを増した。

「まだまだです。自分がどれだけ下手かわかったんで」

 そう語る鈴木に焦りはない。


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