スペイン3季目の鈴木大輔。3億円オファーを断り2部で泥臭く戦う男 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Nakashima Daisuke/AFLO

 リーガ2部の競争が熾烈なのは当然だろう。1部はキラ星のごときスーパースター選手たちが輝きを放ち、まさに夢の舞台となっている。2部はその登竜門であり、世界中から野心的な猛者が集まっているのだ。

「2部はどのチームにも、これはと思うアタッカーが必ず1人はいますよ。例えば(昨シーズンなら)サラゴサのアンヘルとか、バジャドリードのアルナイスとか。体の使い方がうまくて、なかなか日本にはいない選手たちですね。独特の間合いがあるんです」

 今シーズン、アンヘル・ロドリゲスは1部のヘタフェでゴールを決め、ホセ・アルナイスはバルサでトップデビューを果たし、いずれもサプライズを起こしている。1部リーグ下位の5、6チームと2部のクラブの力はほとんど変わらない。実力が伯仲しているのだ。

 しかしながら、2部は経済的に恵まれているリーグとはいえない。選手の平均年俸は1000万円に届かないだろう。練習施設も日本のJ2の方が恵まれているかもしれない。

「修行みたいなもんですよ」

 鈴木は顔を綻ばせ、髭を撫でた。

「Jリーグのクラブから声をかけてもらっていますし、中東のクラブからもオファーがありました。でも、自分で自分に問いかけるようにしていますね。"おまえはなんで海を渡ったのか"って」

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