1位通過はバカらしい? ポルトガルのEURO優勝が示す新トレンド (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 とはいえ、意図的だったかどうかはともかく、ポルトガルが試合を重ねるごとに調子を上げ、試合内容がよくなっていったのは事実だ。約1カ月で最大 7試合をこなさなければ優勝できない過酷な大会において、あらゆる面でのコンディションをうまくコントロールできていたのが、ポルトガルということにな る。

 実際、ポルトガルの選手起用には、明確な傾向が見てとれる。すなわち、ローテーション制である。

 ポルトガルは今大会 の7試合で、すべて異なる先発メンバーを組んだ。全7試合に先発したのは、GKルイ・パトリシオ、FWクリスティアーノ・ロナウド、ナニの3人だけ。以 下、6試合に先発が2人、5試合が2人、4試合が4人、3試合が4人、2試合が2人、1試合が2人と、先発出場選手がかなりバラけている。

 登録メンバー全23人のうち、19人が最低1試合は先発出場し、交代出場も含めれば、控えGKの2人を除く、21人がすべてピッチに立った。GKと大黒柱の2トップ以外は、大会中の選手の調子を見極めながら、うまく登録メンバーを使い回していた様子がうかがえる。

 対照的なのは、決勝で力尽きた地元・フランスである。

 フランスは7試合すべてに先発した選手こそ4人と、ポルトガルと大差がないが、6試合に先発した選手が5人もいる。しかも、その5人のうち4人は先発しなかった試合でも交代出場しており、ピッチに立つ11人のうち、9人までがほぼ固定されていたことが分かる。

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