1位通過はバカらしい? ポルトガルのEURO優勝が示す新トレンド

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 ポルトガルの初優勝で幕を閉じた、今回のユーロ2016。こうしたメジャートーナメントは、その後のサッカーシーンに影響を与えるトレンドを生み出すことがあるが、今大会はそうした明確な傾向はあまり見られなかった。

初優勝を決めて喜ぶクリスティアーノ・ロナウド初優勝を決めて喜ぶクリスティアーノ・ロナウド 人数をかけてバイタルエリアを埋め、中央の守備をしっかりと固めるチームが多かったが、それはトレンドに位置づけるような現象ではないだろう。今 大会から出場国数が、前回大会の16から24に増えたために、これまで以上に力の差があるチーム同士が対戦したことで起きた"自然現象"だ。こうしたトー ナメントを勝ち上がろうと思えば、当然の策でもある。

 ただ、守備を固めるチームであっても、奪ったボールをひたすら前に大きく蹴るだけの攻撃は、それほど多くなかった。ほとんどのチームが多少の差こそあれ、攻撃ではポゼッションを重視し、ある程度パスをつないでマイボールの時間を作ろうとしていたのは確かだ。

 ブラジル・ワールドカップでは、ポゼッションよりもカウンターにやや針が振れる傾向が見られたが、決してポゼッションの重要性が失われたわけではないということの証拠だろう。

 むしろ、今大会で目立った特徴的な現象を挙げるとすれば、前述した出場国数の増加によって引き起こされたものが多い。

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