2016.07.12

鈴木大輔が語る、スペイン2部リーグの現場で何が起きているのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

鈴木大輔、スペイン2部激闘記(前編)

リーガ2部最終節、アラベスと対戦したタラゴナの鈴木大輔 6月11日、スペインのタラゴナ

「あと1試合、戦いたかったすね」

 シーズンすべての戦いを終えた夜、鈴木大輔は 自宅のソファに身をうずめながら、テレビで試合を見返していた。冷蔵庫から出したアクエリアスを、ボトルのままでごくごくと飲む。体は火照ったまま、喉の 渇きがどうにも癒えない。食卓のランチョンマットの上には、食べ終えたクリームシチュー、混ぜ御飯、豚の角煮の皿やら茶碗やら箸やらがそのまま置いてあっ た。

「日本人的な表現かもしれないですけど、”学ばせてもらったな”とは思っています。自分以上でも、自分以下でもなく、自分らしく戦えたなぁと。やりきったとは思っていますよ。それに、”成長できている”という手応えがはっきりとあるんです」

 そう言ってから窓の外を見やると、暗闇の中、スタジアムの残光がだいだい色に空を照らしていた。

  今年元旦だった。鈴木は柏レイソルを自ら退団している。本人にとっては動機のはっきりした行動だったが、周囲にとっては意外だっただろう。密約を交わした クラブがあったわけではない。事実、1カ月以上も所属先なしの状態に陥った。スペイン、リーガエスパニョーラ2部のヒムナスティック・タラゴナ(通称ナス ティック)に練習生で飛び入りし、どうにか契約をもぎ取ったが、向こう見ずな挑戦だった。