鈴木大輔が語る、スペイン2部リーグの現場で何が起きているのか (5ページ目)
<オサスナを下した後、4、5位の勝者とのプレーオフ決勝を制し、1部に昇格する>
そう信じて疑っていなかった。
ところが、第1戦のアウェーゲーム、オサスナのエル・サダルでは「赤い地獄」と形容される不穏な磁場が作り出されていた。
試合開始からナスティックがボール支配率で上回り、序盤からいくつも決定機を作った。しかし、それを攻撃陣がことごとく外してしまう。決めるべきときに決 められないと、次第に守備もリズムが乱れていった。歓声に押し出されるように迫ってくるオサスナの攻撃に、後手に回ってファウルが多くなる。そしてセット プレーを得意とするバスク地方のクラブに、堅守を立て続けに崩された。
前半を終わって2-0とリードされたナスティックは、後半になって挽回を試みる。そしてカメルーン代表FWアシール・エマナが敵GKとエリア内で一対一になるビッグチャンスを手にしている。
「試 合の分岐点はあのシーンにあった」とオサスナの番記者たちが口を揃えた場面。エマナのシュートは無情にもGKにブロックされた。GKは最後の最後までボー ルから目を離さず、倒れずに間合いを詰めてきた。もしここで2-1としていたら、相手を慌てさせることもできただろう。千載一遇の好機を逃した後、ナス ティックは3点目を食らう。粘り強く1点は返したものの、3-1では分が悪かった。
「アウェーゴールをポジティブに考えています。1点取れば、必ず雰囲気は変わるはずですから」
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