バルサCL準々決勝で逆転勝利も「まだアトレティコは死んでいない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 アトレティコのディエゴ・シメオネ監督はそう言って、勝利のプランに抜かりはなかった。4-4-2で両サイドの守りを厚くし、思うようにバックラインにボールを蹴らせず、司令塔であるセルジ・ブスケッツを挟み込む。相手の持ち味を消しながら、集中して得点機会も狙う。24分には右に出たガビがコケに縦パスを流し込むと、コケのスルーパスに走ったフェルナンド・トーレスが先制点を突き刺した。

 瞠目(どうもく)すべきは司令塔ガビの頭脳戦だろう。実はこの得点機の直前にも一度、コケがボールをもらいに寄って来たが、このときは右サイドの選手にはたいている。中盤の底に陣取るブスケッツをサイドに動かした後(中央のコケのマークを外させ)、リターンをもらったガビはパス。これでセンターバックのピケはコケに寄せざるを得ず、空いたスペースにトーレスが走り込んだのである。

 この時点で、シメオネの戦いは完璧に近かった。しかし情熱があり余ったのだろうか?

 28分、得点者であるトーレスがネイマールのドリブルに挑発され、子供じみたタックルを見舞い、1枚目のイエローを受ける。34分にもブスケッツを蹴りつけ、2枚目のイエローでレッドカードをもらってしまう。トーレスは珍しく守備でも果敢さが目立ったが、幼稚な反則の連続は、気持ちが入りすぎた結果とも言えるか。

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