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【Jリーグ】「オシムさんの面影を引きずり続けた」 巻誠一郎がジェフ千葉17年ぶりのJ1昇格で言いたかったこと (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Yuhei Harayama

【サポーターに勝たせてもらった試合】

 逆転したあとは、もう1点ほしい心境ではありましたけど、守りきろうという思いのほうが強かったと思います。

 あの時、FC東京の攻撃はロングボールが増えたので、僕は自分の判断で少しポジションを下げたんですね。前線には谷澤と新居とレイナウドがいたので、ちょっとバランスが悪いなと感じたんです。4人のなかで一番守備できそうなのが僕だったのもあって、これは下がらないといけないなと。

 だから谷澤の4点目も、かなりうしろから見ていた記憶がありますね。あそこでボールを浮かせるシュートを選択したのは、ちょっと心臓に悪かったですけど(笑)。

 勝った瞬間はやりきった感覚はありましたけど、まだ安心はできませんでした。最低条件が勝つことで、ジュビロもヴェルディも負けないと、僕らの降格が決まってしまうわけですから。

 試合中は、他会場の状況は一切わかっていませんでした。当時はDAZNもなかったので、ベンチのスタッフもほかの試合の結果を把握していませんでした。

 しばらくしてスタジアムのビジョンに他会場の結果が表示された時は、心の底からうれしかったですね。よかったというよりも、安堵の気持ちのほうが大きかったと思います。本当に過酷で苦しい日々を過ごしてきましたから。

 わずか11分間で4つのゴールを奪い、逆転勝利で残留をたぐり寄せたあの試合は、「フクアリの奇跡」と呼ばれることになりましたが、僕のキャリアを振り返っても忘れられない試合のひとつとして、心のなかに残っています。

 16年間の現役生活では、ワールドカップの舞台も含め、いろんな試合を経験しました。ただ、サポーターの力だったり、ホームアドバンテージというものをあれだけ強く感じたのは、あの試合をおいてほかにはありません。サポーターの力の偉大さを、あの時は身に染みて感じました。本当にサポーターに勝たせてもらった試合でした。

 やっぱり、サッカーは選手だけでやるものではない、ということ。サポーターの想いがあって、スタジアムの雰囲気が作られて、選手たちは持てる力以上のものを発揮できる。僕らは力をもらい、相手は慌ててしまう。ホームアドバンテージって本当にあるんですよ。

 0-2の状況からあれだけ盛り返せたのは、やっぱりフクアリだったから。ほかのスタジアムだったら、絶対にできなかったでしょうね。フクアリのあの空間だったからこそ、成し得たことだと思っています。

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