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【Jリーグ】鹿島、柏、京都 J1上位3チームの共通点 福田正博が指摘する監督の優れた能力 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【柏のV字回復は監督と選手の相互理解】

 2位の柏は、昨季まで残留争いをしていたチームが見事なV字回復をしたと思う。開幕前からリカルド・ロドリゲス監督のサッカーと柏というチームの相性のよさから躍進を予想してはいたが、最終盤まで優勝争いを演じるとは思いもしなかった。

 その要因には、リカルド監督が長くJリーグで指揮してきたことで、監督が選手たちの特徴を把握していて、選手たちもまた監督がやりたいサッカーを理解していたことがあるだろう。だから就任1年目ながら結果が出せたのだと思う。ボールポゼッションは50%を超え、アクチュアルプレーイングタイムも長い。自分たちが主導権を握って試合を進めることを勝ち点獲得につなげていた。

 ただ、最終的な勝ち点は柏が75で、優勝した鹿島は76。勝ち点1差にフォーカスすれば惜しかったとなるものの、結局のところJ1優勝ラインをクリアできなかったからという見方ができる。

 J1の優勝ラインというのは、消化試合数で得られる最大勝ち点の2/3が目安になる。10試合終了時点なら最大勝ち点30の2/3にあたる勝ち点20、20試合終了時なら最大勝ち点60の2/3にあたる40点といった具合に勝ち点を積み上げ、全38試合終了時点で最大勝ち点114の2/3にあたる勝ち点76以上になっていれば栄冠に手が届く。もちろん、混戦なら優勝ラインが下がることもあるが、1シーズン制で優勝争いが2、3チームの場合、基本的にはこの優勝ラインから外れることはない。

 柏の引き分け数12はリーグ最多タイで、5敗はリーグ最少だったが、これこそがV字回復できた要因であり、優勝に届かなかった課題でもある。

 シーズン当初にリカルド監督が意識していたのは、優勝ではなく残留以上の結果だったはずだ。そのため前線から激しいチェイスで守備を助ける垣田裕暉をスタメンに据えたのだろう。垣田を1トップで29試合に先発させた(今季6得点)ことで、チームは5敗しかしなかったのだと思う。

 一方、優勝争いの大詰めの終盤2試合で先発に起用されたのは、細谷真大だった。逆転優勝にゴールが最低条件のなか起用された細谷は、第37節で期待に応えてハットトリックを達成(今季11得点)。ただ、シーズンを通じて先発起用されたのは13試合だった。

「たら・れば」の話をしたいわけではない。あくまで数字に過ぎず、時期ごとに選手のコンディションやパフォーマンスは一定ではない。細谷をもっと先発させていたら得点シーンは増え、勝ち点を伸ばせたかもしれないが、敗戦数が増加した可能性もある。V字回復は垣田がいたからであることは間違いない。

 ただし、今季の成績を受け、周囲の柏に対する期待はハードルが高まり、「次は優勝だ」となるのが世の常である。そうしたなかでリカルド監督がどういう意識で来季のシーズンに臨むのかは興味深い。今季と同じように中位を目指しながら最終的に上位進出のチャンスを伺うのか、それとも優勝を意識した戦いをするのかは、いまから注目している。

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