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迷いなくJリーグ入りを決意したジャン・クルード 未知の横浜で今やチームの人気者に (3ページ目)

  • 舩木渉●取材・文 text by Funaki Wataru

【奇抜なサングラス、巨大なスピーカー】

「加入した頃からみんなとはいい関係を築けていたけれど、今はそれがどんどん深まっているのを感じている。僕は仲間がひとりぼっちでいるのを見るのが好きではないから、もし元気のなさそうな選手がいたら声をかけるし、ちょっとからかったり、小突いたりして、少しでも前向きな気分になってもらえるように行動する。

 そうすることで誰もが孤独を感じることなく、家族の一員であると感じられると思うんだ。もちろんコーチングスタッフとの関係もいいし、メディカルスタッフのみんなとも最高の関係を築けている。(トレーナーの)日暮(清)さんとは毎日、すれ違うたびに冗談を交わしているよ(笑)」

 スタジアム入りの際に奇抜なサングラスをかけてきたり、巨大なスピーカーから爆音を流しながら取材エリアに現れたり、行動は予測不能だ。ジャンを練習場に送迎するなど一緒に過ごす時間の長いトーマス・デンも「あいつの考えていることはよくわからない。突然変なことを言い出すし、何をやるか予想がつかないから面白いよ」と笑っていた。

 一方、鈴木冬一は「僕はスイスでもっと強烈なアフリカ人選手たちを見てきているので、ジャンはまだかわいいほう。本当のキャラクターはまだ出しきれていない」と言う。こうやってチームメイトたちから愛されているのは、ジャンが日本で充実した日々を過ごせている証だろう。

 今シーズンは前半戦に右ひざを痛めて長期離脱した影響もあり、11月20日時点でリーグ戦は20試合の出場にとどまっている。それでもピッチに立てば驚異的なスピードや圧倒的なボール奪取力で存在感を発揮してきた。

 イエローカードが多かったり、簡単なショートパスをミスしたり、長身の割にヘディングが苦手だったりと課題はまだまだ多くあるが、スケールの大きさは誰もが認めるところ。きっかけさえつかめば、Jリーグ屈指の大型ボランチへ一気に飛躍していく可能性を秘めている。

(つづく)

第4回 >>> 「F・マリノスでプレーできることを感謝している」ジャン・クルード、最近のお気に入りは「あさり塩ラーメン」

Jean Claude ジャン・クルード
2003年12月14日生まれ、トーゴ・ロメ出身。14歳で出場したU-17アフリカ・ネーションズカップで注目され、UAEのアル・ナスルのユースに引き抜かれ、そこでプロに。帰化を断ったことでファーストチームに居場所を失い、2023年9月からウクライナのゾリャ・ルハンシクへ期限付き移籍。翌2024年7月に横浜F・マリノスに完全移籍で加入し、驚異的なスピードや鋭い寄せで中盤を引き締めている。

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