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【Jリーグ】鹿島・三竿健斗「ブレていたことに気づいた」 鬼木監督が自分の強みを思い出させてくれた (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【声だけでメシが食っていける】

 三竿の強みは、守備だけではない。ボランチは試合をコントロールする役割を担っているように、その声はチームの方向性を指し示し、チームを奮い立たせている。同ポジションで切磋琢磨する知念慶は、三竿の声について「常に周りにいい影響しか与えない」と賛辞を贈る。

「ヨーロッパに移籍する前から、このチームを自分が引っ張っていかなければいけないと思っていたこともありましたけど、移籍してきた(千田)海人くんがしばらくしてから、『このチームって悪い空気や苦しい状況になった時に、立ち直れないというか、巻き返せないところがあるよね』って言っていたんです。それを聞いて、僕自身も『たしかにな』って思うところがあって」

 試合中もコミュニケーション能力の高さがうかがえるように、もともと声の重要性は理解していた。だが、状況によってかける声の質や内容を変えるようになった。

「夏場も何度か、めちゃめちゃ暑いなかで練習をすることがあって、相当きつかったんですけど、そこでポジティブな声をかけたら、みんなもそれでがんばれたって言ってくれたことがあって。ただ声をかけるだけで変わる部分や、乗り越えられるところもあるんじゃないかなって思いました」

 それを確信する光景にも遭遇した。ジェフ千葉と練習試合をした時のことだ。対戦相手にいる鈴木大輔が、チームメイトにこう声をかけていた。

「苦しいけど、ここでがんばろうぜ」

「今、ここは耐える時だぞ」

 至ってシンプルな声だったが、千葉の選手たちが鼓舞されている様子は手に取るようにわかった。

「僕自身はその光景を外から見ていたんですけど、そういう声が出せる人って、選手としての価値があるなと。その声だけで、メシが食っていけるほどの影響力を感じたんです」

 プレー同様、すぐに吸収するところも魅力のひとつだ。一つひとつの言動や行動がチームに一体感を作り出し、勝利につながっていくことを、彼は知っている。試合を見ていれば、ピッチに立っていない時の姿勢にも表れている。

「いつだったかは覚えていないんですけど、試合前に集合写真を撮って、水を飲むために選手たちが一度、ベンチ前に戻った時に、キャプテンの(柴崎)岳くんが自分は試合に出るわけじゃないのに、水を持って出てきてくれて声をかけてくれたんですよね。

 それまでベンチメンバーはそこにいなかったんですけど、その行動、光景を素直に『いいな』って思って。自分も控えに回った時にはやるようになったら、カジくん(梶川裕嗣)をはじめ、ほかの選手もやってくれるようになったんです」

 勝利は細部に宿るように、一体感も、そうした何気ない行動から生まれていくのだろう。

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