【Jリーグ】大混戦のJ1優勝ラインは「勝点73」と福田正博 頂点を狙うチームは残り試合あと何勝で到達する? (3ページ目)
【優勝への勝点計算の仕方】
第29節を終えた時点での上位陣の順位は、勝点55に京都(1位)と鹿島(2位)がいて、勝点54で柏(3位)とヴィッセル神戸(4位)がつづき、FC町田ゼルビア(5位)とサンフレッチェ広島(6位)は勝点51だ。
勝点差だけにフォーカスすると、首位・京都から町田や広島までは勝点4差。まだまだ行方はわからないように映るのだが、リーグ戦の優勝争いにはまた違う見方もある。
Jリーグの優勝ラインの基準は、シーズン38試合であれば勝点76。独走になれば76以上になるし、混戦になれば76よりも低くなる。ただ、混戦になっても勝点70を割るケースはなかなかない。そして、この「76」という数字は「1試合あたり勝点2を取る」計算だ。2試合だと勝点4、3試合だと勝点6。つまり優勝のためには2勝1敗以上のペースで進んでいかないといけない。
さて、この勝点76という視点に立つと、現時点(第29節終了時)で勝点55の京都と鹿島は残り9試合で7勝2敗の成績が必要になる。勢いに乗れば不可能ではないものの現実的なラインで考えると、ここから残り試合を「勝点2ペース」で進み、勝点18を上積みすると73。今季の優勝はこのあたりでの着地になるのではないか。残り9試合で勝点18を稼ぐには、6勝3敗とか5勝3分1敗などの成績が必要になるが、これはかなり現実味が増すだろう。
一方、この勝点73に柏、神戸、町田、広島が到達すると考えると、ハードルはグッと高まる。特に、柏を除いた3チームはACLを戦うスケジュールもあり、残り試合が他チームよりも1試合少ない。勝点54の神戸が残り8試合で勝点73に到達するには、勝点19を上積みする必要がある。これは2勝1敗ペースでは足らず、8試合を6勝1分け1敗で乗りきって到達する計算だ。町田や広島はさらに厳しい状況にある。
ただし、最後まで何が起きるかわからないのがサッカーであり、ドラマチックな展開が待ち構えているのがJリーグでもある。
ましてや逃げる3チームというのは、初優勝を狙う京都、久しぶりの優勝を目指す鹿島と柏である。選手たちのほとんどが優勝争いの経験を持ち合わせていない。経験がないというのは歯車が狂った時に立て直せないリスクがある。
目の前の試合がひとつ終わるたびに優勝への重圧が大きくなっていくなか、選手たちがプレッシャーから逃げずに立ち向かうことができるのか。そこは優勝への大きなポイントになるだろう。
果たして最後に笑うのは―――。今季もJリーグは最終節まで目が離せない展開が続きそうだ。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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