浦和レッズの大型補強は成功するか 2025シーズンの注目点を福田正博が解説 (3ページ目)
【センターフォワードの活躍は必須】
今季の浦和を「優勝争いができるチーム」と評価しているが、「優勝候補」に挙げられないのが、センターフォワードの迫力不足にある。
1トップの柱はチアゴ・サンタナだろう。昨季先発21試合(出場36試合)で12ゴールは、数字としては及第点だが、勝負への貢献度という部分では物足りなさが残った。今季から同じブラジル人のマテウス・サヴィオが加入してプレーしやすくなり、得点力が高まることを期待しているが、昨季と代わり映えしないパフォーマンスだと、勝ちきれない試合が増えるかもしれない。
サンタナのほかの1トップ候補は、興梠慎三が引退したこともあり、新たにアルビレックス新潟で昨季30試合5得点をマークした長倉幹樹を獲得した。ポストプレーなどでは浦和に足りない部分を補える貴重な選手だが、ゴール前の勝負を決める仕事というところでは、まだまだ迫力十分とは言い難い。
なぜ1トップに高い要求をするかと言えば、仕事場が勝負を決める場所だからだ。スコルジャ監督のサッカーは守備をベースに堅く守り、左右両サイドからチャンスをつくりだしていく。ただ、その先のゴールを奪う精度に問題があって、勝ち点をなかなか伸ばせなかった。だからこそ、ゴール前で勝負を決める仕事を1トップがどれだけできるかが重要なのだ。
リーグ戦は、負けないことも大事だが、引き分けで得られる勝ち点は「1」。優勝するためには、勝ち点「3」が求められる。それだけにチアゴ・サンタナや長倉など1トップをつとめるFWが、どれだけ得点を稼げるか。現状のメンバーで1トップがハマらないようだと補強も考えなければいけないかもしれない。逆にここがしっかり働けば、チームはおのずと上位を争えるということだ。
とはいうものの、浦和の今季開幕戦は、アウェーでヴィッセル神戸との戦い。J1で2連覇中の王者で、開幕戦の前にスーパーカップ、ACLと2試合を戦う神戸に対し、浦和はこの試合がシーズン最初の公式戦となる。選手のコンディション面でも差があって、厳しい戦いが予想される。
その点で言えば、浦和にとっての神戸戦は、「引き分けなら御の字」くらいの気持ちで臨むことも大切だろう。もちろん、スタートダッシュを決められればいいが、開幕直後は選手のコンディションにバラツキがあり、チーム戦術の浸透具合などでも差が生じやすい。無理に勝ち点3を狙って攻守のバランスを欠いた結果、勝ち点1さえも取り逃がす場合もあるので、状況を見極めながら戦うことも大事だ。
どれだけ大型補強をしたと言っても、昨季の浦和の順位はJリーグ13位。チャレンジャーであることを自覚し、相手をリスペクトしながら勝ち点奪取に挑んでもらいたい。それを真摯に積み重ねていけた時に、浦和にとって2度目のリーグ優勝が見えてくるのではないだろうか。
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