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梅崎司(大分トリニータ)は引退するか現役続行するか迷っていた きっかけは曺貴裁監督の「心に刺さる言葉」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【将来への不安や希望、洗いざらい話した】

── 相談した人のなかには、選手を続けたほうがいいという意見と、引退して次に進んだほうがいいという両方の意見があったことが想像できます。

「自分自身の感情の起伏も激しく、こんなにも人と話して泣くものなのか、というくらいに泣きました。でもその時に、あらためて自分が人に恵まれていたことに気づかされました。なかには10年ぶりくらいに話す人もいたのですが、みんながみんな、自分のことを思って、それぞれの考えや知見、経験を伝えてくれました。そして自分の素直な気持ちに気づいたんです」

── それは?

「2、3年くらい前から指導者の道、ゆくゆくは監督になりたいと思っていたのですが、最終的に自分の心と対話したら、次のステージに進みたがっていた。それで、選手を引退することを決断しました」

── 相談したなかで、特に印象に残っている言葉をかけてくれた人はいるのでしょうか?

「湘南ベルマーレ時代にお世話になった曺貴裁(チョウ・キジェ/京都サンガF.C.監督)さんの言葉は、やはり大きかったです。

 選手を続けるにしても、僕自身は身体のことが気がかりで、昨季も含め、年々ケガが増えていました。ケガがなければ、2023年も半分以上はリーグ戦に出場することができたように、そこだけが不安でした。今季も肉離れを繰り返し、練習に復帰してからも、ずっと再発を怖れていたくらいだったので。

 選手としての思い、将来への不安や希望、そうしたすべてを曺さんには、洗いざらい話した時に言われたんです」

── 何と?

「『お前が現役を続けるかどうか、悩んでいる話を聞いたのは初めてだ』って。『今まであれだけ現役にこだわっていたのに、選手を続けるかどうか考えている。それがひとつの答えなんじゃないか』と言われたんです。それで『自分自身が次のステージに行きたがっているんじゃないか』って。

 最終的に曺さんは、『一度、選手を引退したら戻れないから、しっかり自分で判断して決めるように』と言ってくれましたが、僕にとっては自分でも気づかない心根を見透かされたようで、心に刺さる言葉でした」

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