梅崎司(大分トリニータ)は引退するか現役続行するか迷っていた きっかけは曺貴裁監督の「心に刺さる言葉」 (5ページ目)
【チームメイトに対して厳しい発言もした】
── 3年半を過ごした湘南では、リーダーとして新しいミッションにトライしたわけですね。
「自分が熱量を持って周りに話をしたり、伝えることで、チームにプラスの相乗効果が生まれたんです。それによって、僕自身もほかの選手から相談される機会も増えましたし、続けていった結果、2018年にYBCルヴァンカップ優勝という結果をつかみ取ることができました。
自分のなかでも、いち個人としてだけでなく、チームとしてどうあるべきかを考えて得られたものや時間、経験は、それまでとは違った感動がありました。ただ、それを曺さんのもとだったからできたというのは悔しくて、復帰したトリニータでもそうした役回りにチャレンジしたかったんです」
── なるほど。
「だから、僕がトリニータに戻ってくる意味も、リーダーとしての存在価値にあったと思っています。復帰した2021年は、そこまで多くのことはできなかったですが、2022年は自分なりに、このままのチームではいけないと思う瞬間もあって、試合後にチームメイトに対して厳しい発言をしたこともありました。
その結果、チームメイトにも思いは伝わって、試合前の円陣では自分が話をするのが恒例になりました。自分の言葉や姿勢、行動の何が、周りの選手に火を着け、一致団結して戦えるかも考えましたし、そうしたことを考えながら過ごしたトリニータでの3年半は、結果的にリーダーになれたかどうかは別として、プレーだけではない何かを残せたのではないかと思っています」
(つづく)
◆梅崎司・中編>>「埼玉スタジアムが揺れる感覚は、ほかには代えがたい瞬間」
【profile】
梅崎司(うめさき・つかさ)
1987年2月23日生まれ、長崎県諫早市出身。2005年に大分トリニータU-18からトップチームへ昇格し、翌年にはレギュラーに定着。同年8月には日本代表デビューを果たす。2007年1月にフランス・グルノーブルに期限付き移籍でプレーしたのち、同年12月に浦和レッズに移籍。2018年から湘南ベルマーレ、2021年から大分トリニータで活躍し、2024年11月に現役引退を発表した。ポジション=MF。身長169cm、体重66kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
【写真】鮫島彩の今と昔「引退記念フォトギャラリー」
5 / 5