レッドブルがJ2昇格大宮アルディージャに翼を授けるのか 次の目標は? (4ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【レッドブル買収に選手たちの反応は?】

 大宮アルディージャという名称は、「残す」と明言した。

「ローカルコミュニティ、ファン・サポーターのみなさん、そしてこれまでいろいろな方が携わって、この大宮アルディージャというチームが作り上げられてきました。そういったアイデンティティ、みなさんの想い、ローカルコミュニティのみなさんとのつながり、これまでの歴史といったものをすべてリスペクトしながら、やはり大宮アルディージャという名前は残したいと私たちは思っています」

 この日のメディア対応でRBが示したのは、アルディージャへの限りなきリスペクトだ。ゴメス氏は質問を受けるたびに、「みなさんとしっかりとコミュニケーションを取りながら、日本の文化、習慣、日本人の在り方というものをしっかりと理解しながら、ともに進んでいきたい」と繰り返した。強引な手法は取らない、一方的な判断は下さないとのメッセージを、何度も発信した。

 原強化部長の思いが、率直でわかりやすい。

「最初は正直、どうなんだろうと思うところもありました。実際は本当に真摯に、細かく、丁寧にやってくれています。すぐに動くというよりは、まず現状を把握して持ち帰って、どうしたらいいのかを考えて、一緒にやっていく、という感じですね」

 トップチームの選手たちは、RBの動きを冷静に受け止めている。キャプテンの石川は、落ち着いた口調で思いを明かす。

「僕たちは目の前の試合に集中して、シーズンの最後まで戦い抜く。何かを考えるのは、終わってからでいいのかな、と。今シーズンの最後まで目の前の練習、目の前の試合に集中して、自分たちがやるべきことを突き詰めてやっていくだけです」

 J2昇格の立役者である元日本代表FW杉本健勇も、レベルアップに意識を傾注している。新会社が設立した10月1日に「俺らのところで急に何か変わるというのは、まだないと思う。今はリーグ戦に集中するだけで、そこはクラブも考えてくれているはず」と話した31歳は、J2復帰を決めた直後にこう話している。

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