レッドブルがJ2昇格大宮アルディージャに翼を授けるのか 次の目標は? (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【RBはなぜ大宮アルディージャを選んだのか】

 先制点を決めたセンターバックの浦上仁騎も、表情を崩していない。自身が先制ゴールを決めた直後に同点とされ、後半アディショナルタイムに失点をしたことが、この27歳の表情を厳しいものにしている。

「失点に対してどれだけ敏感になれるかを大事にしていて、仕方のない失点はないと思っているので、今日の2失点は課題が残ったと思います。J2昇格が決まったことについても、歩んでいる道の途中というか、通過点でしかない。最低限の目標を達成できたのは本当によかったですけれど、まだJ3優勝は決まっていないので」

 J2昇格を決めた前日、クラブはRB大宮株式会社として初のメディア対応を行なった。同日に日本代表の練習も予定されているなかで、集まった取材陣は40人強。J3クラブの記者会見としては、異例と言っていいだろう。

 RB大宮株式会社からは、佐野秀彦代表取締役社長、原博実代表取締役兼フットボール本部長、それに株主のレッドブル・ゲーエムベーハー(以下RB)からマリオ・ゴメス氏、フィリップ・ワンダーリッヒ氏が出席した。

 元ドイツ代表FWでワールドカップやユーロに出場したキャリアを持つゴメス氏は、2022年1月からレッドブルサッカーのテクニカルダイレクターの職に就いている。一方、ワンダーリッヒ氏はマーケティングとビジネス部門のトップ。8月の株式譲渡後、初めてとなるメディアとの意見交換の場に、RBの要職にあるふたりが揃って来日したのだった。

 JリーグにはJ1からJ3まで「60」のクラブがある。そのなかでなぜ、RBは大宮アルディージャを選んだのか。

 ホームタウンの埼玉県さいたま市は首都圏に立地し、ホームスタジアム最寄りの大宮駅は巨大ターミナル駅だ。クラブハウスと練習場を備え、スタジアムはサッカー専用である。他クラブにはない魅力を備えているのは確かで、レッドブルが評価したのも地域性だった。

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