FC町田ゼルビアのFWデュークに驚きの事実!? ワールドカップで「魔法のようなヘディング」も「長い間、あまり得意ではなかった」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【子どもに向けてのゴールセレブレーション】

 あのチュニジア戦でゴールを決めたあと、デュークは驚きの表情で駆け出し、その後「J」の文字を手で作って、セレブレーションしていた。その意味は?

「僕には3人の子どもがいて、長男はジャクソンという名前なんだ。だからその頭文字で、歴史的なゴールを祝ったんだ。約1年後には、バングラデシュとのフレンドリーマッチでゴールを決めることができたから、2番目のボーディーの頭文字"B"をつくって喜んだ。3番目はクロエという名前の女の子だから、次は"C"のセレブレーションをするつもりだよ」

 デュークは代表戦での得点後に、そのような形で祝っている。オーストラリアの近日の代表戦といえば、10月15日に埼玉スタジアムで予定されている日本戦だ。

「僕は完璧に準備ができているから、次の代表チームにも呼ばれると信じているよ。その日本戦で、"C"のセレブレーションができたら最高だね。いずれにせよ、この3人の子どもたちは、自分にとって最大のモチベーションになっている。今は訳があって、彼らと一緒に暮らせていないけど、僕が彼らにできることはすべてしている。彼らのためにも、もっともっとフットボールのレベルを高めていかないとね」

 今シーズン、J1で旋風を巻き起こしているFC町田ゼルビアの一員には、歴史的な偉業達成へのモチベーションがあるはずだが、遅咲きのストライカーを駆り立てるものは、ここにもあったようだ。

後編「ミッチェル・デュークが『ワクワクする』というFC町田ゼルビア優勝への挑戦」へつづく>>

ミッチェル・デューク 
Mitchell Duke/1991年1月18日生まれ。オーストラリア・ニューサウスウェールズ州出身。セントラルコースト・マリナーズのユースチームから2011年トップチームデビュー。2015年から清水エスパルスで4シーズンプレー。2019年に母国のウェスタン・シドニー・ワンダラーズへ移籍し、途中サウジアラビアのアル・タアーウンを経て2021年まで在籍。同年の夏にファジアーノ岡山に移り、1シーズン半プレー。2023年からはFC町田ゼルビアで活躍している。オーストラリア代表としては東京五輪、カタールW杯に出場している。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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