FC町田ゼルビアのミッチェル・デュークが語るJリーグ初体験時の思い出「ロンドのボールが奪えなかった」 (3ページ目)
【町田のプロジェクトは実に美しいものと思えた】
W杯で得点したストライカーには当然、世界中のクラブから声がかかったが、それでも彼はFC町田ゼルビアを新天地に選んだ。
「イングランドのチャンピオンシップ(2部)、サウジアラビア、カタール、そして日本と、多くのクラブからコンタクトがあった。そのなかでも、町田のプロジェクトは実に美しいものと思えた。
その頃に新たに就任した(藤田晋)CEOは勝負師で、リスクを恐れない。個人的にも、成功を収めるためには時にリスクを取る必要があると思っているから、大いに共感したよ。もちろん、彼には勝算があるはずだけどね。そのために、新しい監督を招き、多くのいい選手を獲得していることも教えてもらった。
このクラブには大きな野望がある。どのリーグにも、現状維持で満足しているクラブはあると思うけど、僕は野心あふれるクラブでプレーしたいと思った。それは自分の考え方と同じだから」
そして見事に、1年目の昨シーズンにJ2制覇に寄与し、今季はJ1で上位戦線を賑わせている。今季は日本で迎える通算8シーズン目。これまでに対戦したディフェンダーで、デュークをもっとも手こずらせたのは誰だろうか。
「Jリーグには本当に多くのすばらしいディフェンダーがいる。まず思い浮かぶのは、横浜(F・マリノス)の畠中槙之輔。それから代表のチームメイトでもある(アルビレックス)新潟のトーマス・デンだ。彼の相棒の(舞行龍)ジェームズもタフだね」
デュークはそう言って、また、にっこりと微笑んだ。
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ミッチェル・デューク
Mitchell Duke/1991年1月18日生まれ。オーストラリア・ニューサウスウェールズ州出身。セントラルコースト・マリナーズのユースチームから2011年トップチームデビュー。2015年から清水エスパルスで4シーズンプレー。2019年に母国のウェスタン・シドニー・ワンダラーズへ移籍し、途中サウジアラビアのアル・タアーウンを経て2021年まで在籍。同年の夏にファジアーノ岡山に移り、1シーズン半プレー。2023年からはFC町田ゼルビアで活躍している。オーストラリア代表としては東京五輪、カタールW杯に出場している。
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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