バフェティンビ・ゴミスが育ったフランスと日本サッカーの違いとは? あの猛獣パフォーマンスの由来も語った
川崎フロンターレ バフェティンビ・ゴミス インタビュー 後編
川崎フロンターレからの退団を発表したFWバフェティンビ・ゴミスをインタビュー。全3回の最後となる後編は、彼が5月に決めたハットトリックとあの有名な猛獣パフォーマンスの由来について。そして日本とフランスのサッカーの違いについて語ってもらった。(※取材は8月末に行ないました)
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中編「ゴミスが『日本のフットボールの未来は明るい』と確信する理由」>>
ストライカーとして欧州で活躍してきたゴミス。日本とフランスの選手育成の違いを聞いた photo by Kishiku Toraoこの記事に関連する写真を見る
【5月に決めたハットトリックについて】
「あれは最高の瞬間だった。日本で最初の得点を記録したあと、さらに2点を決めてハットトリックを達成できた。率直に言って、日本では自分が思い描いていたようなプレーができていなかったが、ようやく川崎(フロンターレ)のファンに喜んでもらえて、ものすごく嬉しかったよ。彼らは困難なシーズンを送っていた私を、ずっと励ましてくれていたから」
バフェティンビ・ゴミスがそんな風に振り返るのは、5月11日にホームで迎えた北海道コンサドーレ札幌戦だ。前半30分に相手ボックス内でDFを背負いながらボールを受けると、瞬時にターンして右足を振り、鋭いシュートをファーサイドに収めて先制。43分には再びエリア内でDFにマークされながら、味方とのワンツーから押し込んで加点し、さらにその5分後の前半アディショナルタイムには、PKを"パネンカ"(ゴールの中央にチップキック)で決めてハットトリックを成し遂げた。
それはゴミスがここまでJリーグでネットを揺らした唯一の試合となっているが、内容は圧巻だった。特に3点目は、頻繁に見られるものではない。
「パネンカを蹴ろうと思ったのは、フィーリングによるものだ」とゴミスは続ける。「PKはGKと1対1の勝負だから、落ち着いた気持ちで蹴らないと失敗してしまう。あの時は、久しぶりに2点を決めて気分がよかったから、自信を持ってゴールの中央に浮き球をネットに収めることができた」
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著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。