中村憲剛はなぜS級ライセンス研修でカナダへ? 2年後のW杯開催地で見た新世界 (6ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【試合前のロッカールームにも入れてくれた】

高尾「あれはお互いにとって、すごくいい時間でしたよね。彼はベトナムとのハーフで、ベトナムでもプレーしたことがあって。だから日本に対する興味があるようで、すごく話しかけてくれましたね」

中村「あとはキャプテンの選手もすごくジェントルで、最初からウェルカムな感じでした。キャリアもあって、ビクトリア出身の選手なので、バンディエラの資質がある。そういう話をしたりとか、逆にどうやったら40歳までやれるのかって聞かれたり」

高尾「彼は29歳なんですけど、チームで最年長なんですよね」

中村「29歳で最年長ですからね。彼には1番上だからって全然老け込む年齢じゃないからね、とは伝えましたが(苦笑)、いかに若いリーグかっていうことです」

高尾「選手もそうですけど、監督・コーチともかなりコミュニケーションが取れましたよね。練習は10時くらいに始まるんですけど、朝8時半からのミーティングから参加して『今日の練習どうする?』っていうところから会話に加わって。もちろん試合前のロッカールームにも入れてくれましたし、アウェーでも同じホテルに泊まらせてくれて、ずっと同じ環境で動かせてくれたのはよかったですよね」

中村「ご飯も一緒に食べて、食事のあとにはインタビューの時間も割いてくれて」

高尾「試合前日の夜なんですけど、監督とコーチに1時間ずつくらいインタビューをさせてもらいました。憲剛さんが聞きたいことにも全部答えてくれて。あそこでかなり関係性が深まりましたよね」

中村「自分が彼らを理解したかったっていうのもあるし、理解を示すことで彼らに信頼してもらいたいっていう気持ちもあった。ただ研修に来た日本人ではなく、いる間はこのチームのために全力を尽くす姿勢を見せることで、自分が何を言っても大丈夫だって思ってもらえるようにしたかったんです。そのコミュニケーションも含めて、この2週間半はすべてが濃密な学びの時間でした」

(後編につづく)

◆中村憲剛「なぜカナダへ?」後編>>研修での驚き「フロンターレでもそこまではできなかった」(6月14日配信)


【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

著者プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

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