中村憲剛はなぜS級ライセンス研修でカナダへ? 2年後のW杯開催地で見た新世界 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【カナダ国内のサッカーはまったく知らなかった】

── その経験がきっかけで?

中村「それから5年が経って、S級の海外研修をどこにしようかと考えた時に、ヨーロッパも視野に入れながら、そのカナダのチームの存在もずっと頭の中にあったんですね。それで高尾に連絡をして、もしかしたら行くかもしれないんだけど、先方にこちらの希望を叶えてもらえそうかどうかを伝えておいたんです。

 高尾はパシフィックFCのスタッフではないんですけど、パシフィックFCの監督であるジェイミー(ジェームズ・メリマン)と知り合いなので、こちらの要望が実現可能かどうか確認してもらったところ、監督もすごくウェルカムだということだったので、カナダに行こうと決めました。やはり監督がすべてを見せてくれる状態じゃないと、すべてを吸収するのは不可能なので」

── 2年後にワールドカップが共同開催される、ということも意識はあったのですか?

中村「それも大きな理由のひとつでした。正直に言うと、僕はカナダ国内のサッカーのことはまったく知らなかったんです。

 でも、カタールワールドカップでカナダ代表の試合を見た時に結果は出ませんでしたけど、『自分たちはこういうサッカーをやりたいんだ』というのが見えて、その印象がよかったんですね。『彼らの源泉みたいなものはどういったものなんだろう』と興味が湧きました。そういったローカル的な要素も含めて、決めたところはあります」

── 高尾さんは憲剛さんから連絡が来た時は、どう思いましたか。

高尾「すぐに(田代)ガクに連絡して、これはもうチャンスだぞって。やっぱりカナダのサッカーって、日本ではあまり知られていないですし、正直、自分たちもどのくらいのレベルなのかわかっていない部分もあります。

 でも、憲剛さんがこっちに来て見てくれたら、客観的にそれがわかるし、発信力もある方なので、それが日本にも伝わる。いいことしか起きないなってイメージが湧いたので、もうワクワク感しかなかったですね」

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