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鹿島アントラーズで引退のクォン・スンテは来日前から日本漫画好き アニメで聞き取り練習 (2ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【日本のアニメをたくさん見ていた】

 とはいえ、本人は「いつか海外移籍を」などとキャリアを描いたこともなかった。

 近年の韓国人選手にとってのJリーグとは、「欧州移籍のための最初のステップとして海外生活を経験する場」であったり、あるいは「精密な戦術や技術を学び、自分のスキルを上昇させる場」だったりする。

 一方、韓国のGKにとっては同ポジション選手の欧州での成功例がないなか、Jリーグは「数少ない海外移籍先」でもある。

 クォン・スンテは自国では韓国の年代別代表を経て、全州大学では1年時からポジションを獲得した存在だった。全北現代には当時Kリーグで実施されていたドラフトで「地域優先指名(ホームタウン出身の選手を優先的に指名)」枠で入団した。

 なかなかのエリートにも思えるが、自身の若き日の姿を「キャッチングができなくて解説者にミドルシュートを狙えと言われていた」と笑う。A代表キャップは6、合計4失点で終わったが、「代表を目指せる格ではないと思っていた」とも。

 だからか、1984年生まれの自身が10代だった1990年代後半から2000年代前半にかけて「韓国代表のトップクラスがこぞってJリーグに移籍」といった事象にも大きな関心はなかった。日本とは「なんとなく近くにある国」、そしてより重要な点はほかにあった。

「漫画やアニメが好きなんですよ。たくさん見ましたね~。『スラムダンク』『ワンピース』『呪術廻戦』...『ドラゴンボール』はZが出る前に漫画で全部読んで、その後にアニメで見ました。

 好きなキャラクターはドラゴンボールならクリリンとか、スラムダンクならチェ・チス(赤木剛憲)、チョン・デマン(三井寿)だとか、脇役に肩入れ傾向があるみたいです。鹿島に来た頃にも日本語を勉強するにあたって、アニメは活用しましたね。語学の本はしっかり読んだ上で、アニメで聞きとり練習をする、という風に」

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