アビスパ福岡にあって、浦和レッズになかったモノ「選手たちが恥ずかしがらず、いいものを表現ができた」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 福岡が過ごしたJリーグでの歴史を振り返れば、J1でひとつのタイトルも獲れていなかったどころか、J1残留すらままならず、J2で過ごす時間のほうが長かった。

 1996年にJリーグ新規参入を果たすも、一度もひと桁順位に上がることなく、2002年にはJ2降格。その後は3度のJ1昇格があったが、いずれも1年でJ2へ逆戻りとなっていた。

 ようやく潮目が変わり始めたのは、長谷部監督が就任した2020年のことだ。

 このシーズン、福岡はJ2で2位となり、J1へ復帰すると、翌2021年はJ1ではクラブ史上初となるひと桁順位の8位でフィニッシュ。昨季は14位だったが、J1 での連続3シーズン目を迎えた今季もまた、冒頭で紹介したとおり、ひと桁順位をキープしている。

 長谷部監督の下、次々に歴史を塗り替える途上で手にした初タイトル。選手から「シゲさん」と慕われる52歳の指揮官は、「歴史は変わった」と力強く言い、こう続ける。

「クラブは前進し、上を目指す。そういう方向に向かったんじゃないかとうれしく思う」

 福岡のクラブ史に、燦然と輝く1ページが記された。

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