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谷晃生の野望「日本人GKに対する世界の目を変えることもガンバへの恩返しになる」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

 公式戦においても、自身が控えメンバーに回ることが決まったなら、「控えのGKに暗〜い顔でベンチに座られていたら嫌だと思うので」と気持ちを切り替えて、ムードメーカーに。他の控えメンバーとともに、スタメン組を常に盛り上げていたのも印象的だ。もちろん、そんな谷のことを先輩選手も容赦なくイジり、可愛がっていたことも。

 それは、セルティック戦後、彼を囲んで集合写真におさまる仲間とのやりとりからも伺えたが、おそらくは、その空気のままにベルギーに乗り込むということだろう。

「将来的には世界五大リーグと呼ばれる場所でプレーしたいし、日本代表としてワールドカップにも出場したいという目標はあります。

 ただ、日本代表というのは、あくまでチームでの活躍の先に、結果論としてついてくるものなので。正直、少し日本代表から遠ざかっている今は、日本代表のことはまったく頭にはないです。今回の期限付き移籍も『ヨーロッパにチャレンジしたい』という思いだけで決断したことで、今はデンデルで試合に出ることしか考えていません。

 まずは新たな環境で、自分が何を感じるのか。全然やれると思うのか。自分の弱さを知ることになるのか......今はまだわからないですけど、いずれにしても、僕がすべきことは、行ったからこそ感じられることを、すべて自分の力にすることだけなので。それができれば、きっとまた見えてくることがたくさんあると思っています」

 渡航を前に、身の回りのもので日本からマストで持参すると話していたのは、炊飯器のみ。谷曰く「今の時代、大抵のことは現地でなんとかなるし、なんかあっても気持ちでどうにかする」そうだ。取材の最後にサラリと彼が口にしたその言葉を、とても重いものに感じたのは、きっとその奥に潜む、彼のそこはかとない覚悟を見たから。

 谷にとって初めての海外、デンデルでのチャレンジが始まる。

(おわり)

谷晃生(たに・こうせい)
2000年11月22日生まれ。大阪府出身。ガンバ大阪のアカデミー育ちで、高校1年生の時に二種登録され、2017年3月にはJ3リーグデビュー。同年12月には飛び級でのトップチーム昇格が発表された。2020年、湘南ベルマーレに期限付き移籍。2022年までの3シーズン、不動の守護神として活躍。2023年、ガンバに復帰した。世代別代表では、2017年U-17W杯、2021年東京五輪に出場。2021年8月、日本代表にも初めて選出された。

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