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J2序盤で明暗分けた「王国静岡」の争い 「新鋭」藤枝が好スタート 「老舗」清水と磐田は出遅れ その要因とは (2ページ目)

  • 望月文夫●取材・文 text by Mochizuki Fumio
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 要因はある。

 昨季途中に就任したゼ・リカルド監督は今季、昨年までの4バックに加え、オプションとして3バックも採用。練習試合での好調を受け、水戸ホーリーホックとの開幕戦では3バックでスタートした。しかし、うまくかみ合わずに後半から4バックに移行し、辛うじて流れを引き戻してスコアレスドローで終えた。

 その結果、勝利を期待したファンやサポーターからブーイングを浴びた主力選手は、「(新シーズンへ)準備してきたつもりだったけど、何も積み上げられていなかった」と厳しい言葉に終始した。

 さらに、クラブに対する疑問の声もある。ある解説者は、降格しても強化責任者や監督が変わらないことに、「危機感があるのか疑問だし、選手のモチベーションが保たれるか心配」と指摘。「実績のある選手が多いので、結果が出なければ主張し合って、ひとつにまとまらなくなる可能性もある」と警鐘を鳴らす。

 片や、ホームの開幕戦で黒星を喫し、3戦目にようやく初勝利を挙げた磐田にも不安材料がある。一昨年に加入したFWファビアン・ゴンザレスの移籍問題で、昨年FIFAから下された1年間の新規登録選手禁止による影響だ。

 補強禁止処分を補って、期限付き選手の呼び戻しやユース選手のトップ登録などをできる限り行ない、今季就任した元日本代表コーチの横内昭展新監督は「今のままで十分な戦力がそろっている」と繰り返すが、J1復帰に向けて万全でないことは明らか。特に昨年J1でワーストだった失点は、J2となった今季もここまでで5失点(リーグワースト2位タイ)と、大きな改善は見られない。

 事実、ファジアーノ岡山との開幕戦では、後半54分までに3失点。早々に試合を決められた。第2節のレノファ山口戦では、先制しながらも終盤にPKを献上してドロー。白星を挙げた第3節のモンテディオ山形戦も、前半は主導権を握って先制したが、後半は相手のペースとなって一時同点を許すなど、薄氷の勝利だった。

 横内監督はチームの初勝利に、「失点しても下を向かず、自信を持ってプレーしている」と評価しつつも、「改善点はまだまだある。一歩一歩前に」とコメント。上方修正を図るには、もうしばらく時間がかかりそうだ。

 スタートダッシュにおいて、明暗を分けた静岡のJ2勢だが、まだまだ長いシーズンの序盤だ。選手層の厚い清水と、J2から2度の昇格経験を持つ磐田が、現在の低迷に甘んじるはずもない。藤枝との三つ巴の行方、そして老舗2クラブの今後の戦いぶりが注目される。

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