得点パターンわずか2種類でゴール量産の45歳Fリーガーが引退 フットサル界稀代のワンタッチゴーラーにその極意を聞いてきた (4ページ目)

  • 河合 拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

【全日本フットサル選手権が最後の舞台】

 金山がチームメイトたちと連携を高め、パンツやソックスに数々の穴を開けてまで磨き上げてきた「ファー詰め」を見ることができるのも、あとわずかだ。

 3月11日に開幕する第28回全日本フットサル選手権が、金山の現役最後の舞台となる。

「毎年、毎年、『勝負の年』と位置づけてやってきましたが、40歳を超えてから2桁得点を取れなくなったのは、一つの指標になりました。二桁取れているうちは、現役でやろうと思っていたなかで、12年目のシーズンに取れなくて、あと1年だなと思っていたんです」

 しかし、そのタイミングでチームはスペイン人のルイス・ベルナット監督が就任する。「スペイン人監督のもとでプレーしてみたい」という思いもあり、現役を続行していった結果、16シーズン目を迎えていた。

 今シーズンもコンディションはよかったが、シーズンで初めて大きな負傷を二度経験。これが引退を決断する決め手となった。

「一度、戻してようやくまたプレーできるという時に、またケガをしたんです。その時に『また来年も』とは思えなかった。自分は練習から常に全力だったので、ケガをしないようにと気にしながら練習するのも結構きつい。背中で後輩たちに見せられるものがあれば、何か感じてもらえるものがあればと思ってやっていたのが、ちょっと違うなとなりました。辞めるタイミングなんて、これまでもいくらでもあったけど、本当に辞める時が来たなというのが今シーズンだったんです」

 若かった頃のように、長時間、ピッチに立つことはない。それでもピッチに立つ短い時間で、確実に爪痕を残す。45歳のスピードスターのラストダンスは、絶対に目を離せない。

金山友紀 
かなやま・ゆうき/1977年9月2日生まれ。島根県浜田市出身。社会人チームでのサッカー活動から2000年にカスカヴェウ(現Fリーグ・ペスカドーラ町田)に加入。2007年のFリーグ発足以降もチームの中心としてプレーしてきた。フットサル日本代表では2004年と2008年のフットサルワールドカップに出場している。

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